Clásicos japoneses con furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lee 五瓣の椿 (ごべんのつばき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 149.721 caracteres · 296 pantallas
十
「目明しの上総屋さんでございますね」
「そうだ、心配することはないから、必ず顔を出すようにと云ってくれ」
忘れないようにと念を押して、青木千之助はその家を出た。
十
八丁堀の組屋敷へ帰る途中、青木千之助はしきりに、後手を取った自分のふがいなさを責めた。
一昨日の晩、――彼は二人のあとを跟けたのである。七造でもよかったが、大事をとって自分で跟けていった。そして湯島横町の家へ、二人がはいるのを慥かめてから、近所の者にお倫のことを訊いた。
――温和しくって、きれいで、お人柄ないい娘さんですよ。
三軒で訊いたが、三軒とも同じように褒めていた。実家は下町で大きい商家らしい、茶の師匠の看板を出しているが弟子は取らない。躯が弱くて保養でもしているのか、小間使と二人ぐらしで、訪ねて来る客もなし、まして浮いたような噂もない。というように、お倫の云ったこととみな口が合っていた。
――では的が外れたか。
そう思ってそのまま帰った。
昨日は奉行所へ出頭した。吟味にかける盗賊があり、係の与力と打合せをするためで、そのあと夕方まで役所で事務をとった。そうして今日、北町奉行所に用があってでかけたが、帰りにふと思いだしたので、念のために石町へまわってみた。