Clásicos japoneses con furigana
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ぼんじんでん
凡人伝
佐々木 邦
Lee 凡人伝 (ぼんじんでん) de 佐々木 邦 (ささきくに) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 98.944 caracteres · 202 pantallas
「余り多いと具合が悪いんだろうね」
「漢学だから勤まるのさ。英語ならもう疾うに首だよ」
「そんなにいつまでも働く必要があるのか知ら?」
「子供に仕合せの悪い人だよ。長男も次男も死んでしまって、女の子ばかりだから、未だ当分齧りついているんだろう。時勢には後れているが、温厚人で邪魔にならないから、地位は確かだ」
「ナカ/\学者のようだぜ」
「詩人だよ。漢詩じゃ県下随一だ」
と柴田君は悪口を言いながらも、老河原を錚々館の誇としていた。
同僚の銘々伝を書くのではないが、もう一人五味君を挙げたい。矢張り英語で、柴田君と同じく東京の高等師範出身だった。私より三つ上だったけれど、十も違うような印象を与える。物腰恰好、老成人めいて、厭に落ちついているから、私は最初の間、この男が嫌いだった。
「先生はこゝはもうお長いんですか?」
と敬意を表してやったら、
「然うですね」
と言って、少時瞑目した後、
「去年来たばかりです」
と答えた。去年来たばかりなら、そんなに考える必要もなかろう。余程頭が悪いのだろうと思った。その後、私は日曜に散歩に出た時、五味君が川端で釣糸を垂れているのを見かけた。