Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ぼんじんでん

凡人伝

佐々木 邦

Lee 凡人伝 (ぼんじんでん) de 佐々木 邦 (ささきくに) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 98.944 caracteres · 202 pantallas

Aozora Bunko

「無論さ」

「それじゃこれは使って貰えないかい?」

「貰ったも同じことだ。君、万年筆丈けは和製を買うものじゃない。ガリ/\音がして頭に答える。この頃神経衰弱の流行るのはその為めだ」

「まさか」

「本当だよ。それに安物買いの銭失いって奴さ。少し使うと直ぐ悪くなって直しにやらなければならない」

「困ったな。何うしようか?」

「名案があるよ」

「何だい?」

「同僚へ土産に持って行き給え」

「成程」

「田舎漢には和製も舶来も分るまい」

「そんなのが揃っているよ」

と私は然うすることに定めた。

野崎君は勤め先の受けが好いそうで余程得意のようだった。ボーナスを貰う上にコンミッションを取ることを話した後、

「君は一体幾ら貰っているんだい?」

と訊いた。

「教員は駄目だよ」

と私は謙遜する外なかった。

「立花はもっと好いのかい?」

「大同小異だろう」

「それでも女房を貰うんだから度胸が好い」

「彼奴は小才子だからね」

「小才子だから何だい?」

「小成に安んじる風がある」

「君はどうだい?」

「僕は前途遼遠だよ」

「何とか言っている」

「何故?」

「コルクの草履なんか買って来やがって」

「あれは単にお土産だ」

「四十円や五十円で結婚すると、身動きが取れなくなるぜ」