Clásicos japoneses con furigana
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
Lee 幼年時代・晩夏 (ようねんじだい) de 堀 辰雄 (ほりたつお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 85.965 caracteres · 169 pantallas
そこには無気味に感じられる恰好の巌石がそば立ち、緑青いろをした古い池があり、その池の端には松の木ばかりが何本も煙のように這いまわっていた。そしてそれが常泉寺の奥の院の庭であるのを知った時、私たちは一層驚かずにはいられなかった。……それから私たちは急にひっそりとなって、その崩れ落ちそうな溝づたいに一列にならんで歩き出したが、その道のもう一方の側はどうなっていたのか今はっきり思い出せない。そこまで来てしまうと、どっちを向いてももう殆んどさっきの人家らしいものが目に入らなかったようだが、ことによると私たちのまわりには私たちよりも丈高く雑草が生い茂っていたのか知れぬ。そう云えばそこいらが一面の薄だったような気もする。
私たちは何時の間にかとんでもない場所へ来てしまったような不安な気持になって、お互に無言のまま、おっかなびっくりそんな場所を歩き続けて行ったが、そのうち再び驚かされたのは、そんな寺の裏なんぞの、恐らく四方から墓ばかりに取り囲まれているであろうようなところに、一軒ぽつんと小さな家が見え始めたことだった。さっきの雑草もその小家のあたりだけは綺麗に取除かれ、その代りそこら一面に、その小家を殆んど埋めるくらいにして、黄や白だのの見知らぬ花が美しく咲きみだれていた。