Clásicos japoneses con furigana
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
Lee 幼年時代・晩夏 (ようねんじだい) de 堀 辰雄 (ほりたつお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 85.965 caracteres · 169 pantallas
幼稚園
その裏の大きな溝に、私は或る日、どこの家の所有だか分からない、古い一艘の小舟が繋留せられずにあるのを見出した。その日からそれに気をつけて見ていると、それは毎日のように、流れのままに漂って、あっちへ行ったりこっちへ流れよったりしているのだった。私はその小舟をいつか愛し出していた。若し私がそれに乗れたら、その日頃私の夢みていたすべての望みが、何もかも不思議に果たされそうな気がされてならなかった。……
幼稚園
桜並木のある堤の下の、或小さな路地の奥に、その幼稚園はあった。――その堤の上からも、よく晴れた午前などには、その路地の突きあたりに、いつも明け放たれた白い門の向うに、青葉に埋もれたような小さな運動場が見え、みんな五つ六つぐらいの男の子や女の子が入れ雑じって、笑ったり、わめいたりしながら、遊戯なんぞをしていた。ぶらんこが光り、オルガンが愉しげに聴えていた。……、
屡、その堤へおばあさんに伴われて散歩に来るときなど、私はよく桜の木の下に立ち止まって、彼等の遊戯に見入っていた。ことにそのオルガンの音が私には何んとも言うに言われず魅惑的だった。そんな私を待ちくたびれて、ぼつぼつと歩き出していたおばあさんが、いつかもうずっと先きの方まで行ってしまっているのに気がつくと、私は漸っとその場を立ち去るのだった。