Clásicos japoneses con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lee 新・水滸伝 (しん・すいこでん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 684.899 caracteres · 1374 pantallas
いよいよ土牢行きかな? 思っていると、さにあらず、清洒な一屋の明るい部屋だ。見れば調度の品やきれいな寝台まで供えてある。
昼飯には、丸焼の鶏一羽、野菜の煮合せ、白い麭、汁、それにしかも葡萄の酒。
「ああ腹がくちくなった」
何気なく扉を押してみると、錠もおろしてない。そこで武松は一ト散歩を思い立ち、獄営の広い牧場ほどな所を、あっちこっち歩き廻った。
真夏の入道雲の下には、蟻地獄のような囚人の群れが、腰鎖のまま、気息奄々と働いていた。
なにしろ、六月末のカンカン照りだ。囚人たちには汗をふく木蔭もない。鍬の下から火が燃え、担ぐ石材は熱鉄の焔を立て、汲む水も湯のような焦熱の刑場だった。
「おい、みんな」
ぶらと、武松は来て、暢気そうに、手をうしろに組んで話しかけた。
「なんだって、昼寝もしねえで、こんな炎天に働いているのよ」
「え。昼寝だと」
囚人たちの半分は笑いだし、あとの半分は、糞ッ腹を立てたらしく、中の一人がこういった。
「何ってやンでい。どこの米の虫か知らねえが、後生楽な音を吹きやがって、おらたちの身になってみろい。でもナ、ここは終身牢や死刑牢とは違うから、こんな日向はまだ、この世の極楽だと思って、苦役の汗をしぼッてるんだ。