Clásicos japoneses con furigana
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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Lee 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 337.181 caracteres · 676 pantallas
『癇のつよい栗毛が一疋居りますから、それに誘り込まれて、他の馬が騒ぎ出したのでございましょう』
『いや』
と左兵衛佐は、自分の六感に自信を持って、強く首を振った。
『いつもの嘶きや騒ぎ方とは、何となく違う気がするぞ。――見て来い、兎も角』
『はっ』
固よりこの人々でも、日常に安閑と平和な欠伸を催すような日は無かったのである。毎日が、毎夜が――緊張しきった警固の中の生活だった。
ぱらぱらっと、左右田孫八郎は草履を突っかけて行った。すると、厩から玄関脇の供待へ通じる木戸の戸が少し開いている。はっと、何か物の怪の影に目先を掠められたように、彼はそのまま表門の外まで出て行った。
すると、出会いがしらに、
『左右田、何処へゆくのか』
『おッ、木村丈八か』
『何か火急に』
『いや後で話す』
せわしげな眼で、往来を見廻しながら、孫八郎は隣家の本多家の長い塀の端れまで駈けて行った。
午下がりの町は、白い秋風に晒されてからんと乾燥していた。往来も稀で、一つ目の辻のほうへ、一人の中間者の後姿がてくてく歩いてゆくのが、ちょっと眼に止まったぐらいなものである。飴売りの太鼓までが、哀歌のように寂しく流れてゆくのだった。