Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lee 明暗 (めいあん) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 322.590 caracteres · 645 pantallas

Aozora Bunko

六十一

「御給仕をしたくったって、麺麭だからできないよ」

下女が皿の上に狐色に焦げたトーストを持って来た。

「お延、叔父さんは情けない事になっちまったよ。日本に生れて米の飯が食えないんだから可哀想だろう」

糖尿病の叔父は既定の分量以外に澱粉質を摂取する事を主治医から厳禁されてしまったのである。

「こうして豆腐ばかり食ってるんだがね」

叔父の膳にはとても一人では平らげ切れないほどの白い豆腐が生のままで供えられた。

むくむくと肥え太った叔父の、わざとする情なさそうな顔を見たお延は、大して気の毒にならないばかりか、かえって笑いたくなった。

「少しゃ断食でもした方がいいんでしょう。叔父さんみたいに肥って生きてるのは、誰だって苦痛に違ないから」

叔父は叔母を顧みた。

「お延は元から悪口やだったが、嫁に行ってから一層達者になったようだね」

六十一

小さいうちから彼の世話になって成長したお延は、いろいろの角度で出没するこの叔父の特色を他人よりよく承知していた。

肥った身体に釣り合わない神経質の彼には、時々自分の室に入ったぎり、半日ぐらい黙って口を利かずにいる癖がある代りに、他の顔さえ見ると、また何かしらしゃべらないでは片時もいられないといった気作な風があった。