Clásicos japoneses con furigana
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しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
Lee 春泥・三の酉 (しゅんでい) de 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 86.075 caracteres · 173 pantallas
「へえ。――実は、いま、お宅へ上りましたので……」
相手はあいそよく中腰を屈めた。
「うちへ?」
「へえ。」
「何か、用……?」
「へえ、その。――一寸その『矢の倉』までお越しをねがいたいんでございますが。」
「帰って来たのかい、先生?」
「へえ。」
「何日?」
「今日その急に。」
「急に?」
「へえ。」
「どうして? ――それより、しかし、どこへ行ってたんだい、先生?」
「へえ、修善寺へ。」
「だろうと思ったんだ。――きッとそうだろうと思ったんだ。――けど、何だってそんな。――何だってそう急に……?」
「いゝえ、それが。――よく分りませんのですが、しかし。――何かしかしそのことでみなさんにおいでを願うような……」
「と、あたしだけじゃァないのかい?」
「へえ、小倉先生にも。……三浦先生のところへもこれからうかゞうんでございます。」
「いるぜ、君、三浦君も。――矢っ張こゝにいるぜ、君。」
「あ、さよでございますか? ――それは大へん……」
「おい、慶ちゃん……」田代はうしろを向いて三浦を呼んだ。
間もなく、吉沢は、もう一けんこれから頭取のうちへ行くといっていそがしく帰って行った。――そのまゝ座敷へ返った三浦と田代は、小倉と三人、急に引緊った感じの顔をたがいにみ合せた。