Clásicos japoneses con furigana
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ざくろ
柘榴
山本 周五郎
Lee 柘榴 (ざくろ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 12.342 caracteres · 25 pantallas
松室との縁談は戸沢数右衛門という中老から始まり、父には難色があったようだが、「松室の将来は自分が面倒をみるから」こういう戸沢中老の一種の保証のような言葉があって纒まったらしい。勿論これは結婚が不幸に終ったあとで聞いたことだし、そのために戸沢中老に責をかずけるようなものではないけれども。――真沙は結婚という現実よりも、自分のために作られる衣装や、髪かざり調度などの美しさに、心を奪われるほど若かった。「十七にもなってこの子は、――」母親に幾たびもそう云われたほど若かったのである。祝言は八月のことで、話があってから三十日ほどしか経っていなかった。人の家へ嫁すということより、ふた親や兄たちと別れ、生れた家を去るという悲しさのほうが強く、でかける前になって庭へぬけだし、色づき始めた葉鶏頭のところで激しく泣いたが、誰にもみつからないうちに涙を拭いて部屋へ戻った。……そのときの葉鶏頭の色と、それを眺めて泣いた涙のまじりけのない味を、そののち真沙はどんなに懐かしんだか知れなかった。
新しい生活は真沙に衝撃を与えた。年よりも遙かにもの識らずだった彼女は、恐怖と苦痛と不眠とで、数日のうちに驚くほど憔悴した。