Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lee 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 178.724 caracteres · 355 pantallas

Aozora Bunko

俊亮は黒田先生のあとについて、さわがしくなった廊下を通り、次郎の待っている室にはいったが、次郎はその時、窓の近くに立って外を見ていた。

「じゃあ、次郎、帰ろう。」

俊亮はそれだけ言ったきり、一ことも口をきかなかった。次郎も父の顔を見て、ただうなずいたきりだった。

間もなく二人は黒田先生に見おくられて玄関を出た。次郎は、方々からたくさんの眼が自分を見ているのを感じて、さすがにいい気持はしなかった。

校門を出ると、すぐ俊亮がたずねた。

「どうだった。最後の瞬間に動揺はしなかったかね。」

「そんなことありません。僕、黒田先生にかえって気の毒だったんです。」

「どうして。」

次郎は黒田先生との対話のあらましを話して、

「僕、先生にあんなふうに言われると、どうしていいかわからなくなるんです。」

「ああいう先生には、ミケラシゼロの鑿の必要もないというわけだね。ははは。しかし、あの先生は実際いい先生だ。おまえも気持よく学校にお別れが出来て、仕合わせだったよ。」

「父さんは校長にも会ったんですか。」

「うむ、会った。西山教頭や曾根少佐にもあったよ。」

俊亮はべつに校長室の様子をくわしく話しはしなかった。