Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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たきぐち

滝口

山本 周五郎

Lee 滝口 (たきぐち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 49.815 caracteres · 99 pantallas

Aozora Bunko

「かたじけないな」と益村は云った、「よく覚えておきましょう」

そして振り向いてあるきだした。芳村伊織という男はあとに残った。

芳村はどういう立場にいるのか、と安宅は考えてみた。衣笠のおわきの話では、二千石とかの旗本だったが、おりうを追ってこの山ぐにまではるばる来たのだという。事実とは信じがたいが、もし事実だとすれば、少なからず異常だ。旗本御家人というのは幕府の中でも別格な存在で、他のことはともかく、その進退にはきびしい制限があり、女のあとを追って江戸からはなれる、などということは不可能だと聞いている。もちろん人間のことだから、すべての者がその制限に服従して誤らないとはいえない。幕府の禁制も家名も捨てて、江戸から出奔するという例もあるに違いない。――だが、芳村伊織はそんなふうにはみえなかった。人品も悪くないし、暗くてよくは見えなかったが、みなりもきちんとしていた。女のために前後を忘れて、旗本二千石の家名を捨て、こんなところまであとを追って来るような、だらしのない、崩れたような感じはどこにもなく、どこか大身の武家の道楽息子、とでもいうような人柄にみえた。