Clásicos japoneses con furigana
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たきぐち
滝口
山本 周五郎
Lee 滝口 (たきぐち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 49.815 caracteres · 99 pantallas
六
「それはどうもありがとう」と云って安宅は会釈した、「――お宅のみなさんも御無事ですか」
「家族とは往き来を致しませんけれど、弟の順之助が小姓組に召された、ということを聞きました」とさえが云った、「子供も二人めが生れたそうでございます」
「ああ」と安宅は空を見あげながら、無感動な口ぶりで云った、「それはめでたいですね」
六
なにかほかに云うことはなかったのか、十幾年ぶりかに昔の恋人と会って、ああそれはめでたいですね、とは芸がなさすぎるではないか、と安宅は思った。
「あたし今夜は酔うわ」とおりうが云った、「いいでしょ、飲んでも」
「その男ははらを立てていたらしい」と安宅が酒を啜りながら云った、「今日は酔うぞと云ってむやみに飲んだ」
「なにを云いだすの」
「酔ってうっぷんをはらすつもりだったんだろう、村松庄兵衛という徒士組の者だったが、酒にはあまり強くなかったんだな、うっぷんをはらすまえに酔いすぎて、酔いつぶれてしまって、倒れるまえにひとことだけどなった、あんまり人をばかにするな、ってさ」
「いやな方」おりうはふきだしながら安宅をにらんだ、「あたしお酒には強いのよ」
「酌はしないよ」