Clásicos japoneses con furigana
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
Lee 神州天馬侠 (しんしゅうてんまきょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 511.765 caracteres · 1011 pantallas
「おお伊那丸さま、わたくしはここでござります」
近よってきた白鹿毛の上には、かいがいしい装束をした彼女のすがたが、細身の薙刀を小脇に持って、にっことしていた。
「咲耶子、呂宋兵衛めは、いずれへ姿をかくしたのであろう。忍剣も龍太郎も、いまだに討ったと声をあげぬが」
「わたくしも、余の者には目もくれず、八ぽうさがしてまわりましたが、影も形も見あたりませぬ。ざんねんながら、どうやら取り逃がしたらしゅうござります」
「いや、民部がしいた八門の陣、その逃げ口には、伏兵がふせてあるゆえ、かならず討ちもらす気づかいはない」
とふたりが、馬上で語り合っているすぐうしろで、ふいに、悪魔の嘲笑が高くした。
「わ、はッはわはッは……このバカもの!」
「や!」
ふりかえってみると、人影はなく、星の空にそびえている一基の十字架。
「いまの声は、たしかに呂宋兵衛」
「奇ッ怪な笑い声、咲耶子、心をゆるすまいぞ」
きッと、十字架をにらんで、ふたりが息を殺したせつなである、一陣の怪風! とたんに、星祭の壇に燃えのこっていた赤蝋が、メラメラと青い焔に音をさせてあたりを照らした。
明滅の一瞬、十字架のうしろにかくれていたおぼろげなかげは、たしかに怪人、和田呂宋兵衛。