Clásicos japoneses con furigana
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せいアレキセイじいんのさんげき
聖アレキセイ寺院の惨劇
小栗 虫太郎
Lee 聖アレキセイ寺院の惨劇 (せいアレキセイじいんのさんげき) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 32.638 caracteres · 65 pantallas
序
序
聖アレキセイ寺院――。世俗に聖堂と呼ばれている、このニコライ堂そっくりな天主教の大伽藍が、雑木林に囲まれた東京の西郊Iの丘地に、R大学の時計塔と高さを競って聳り立っているのを……。そして、暁の七時と夕の四時に嚠喨と響き渡る、あの音楽的な鐘声も、たぶん読者諸君は聴かれたことに思う。
ところで、物語を始めるに先立って、寺院の縁起を掻い摘んで述べておくことにしよう。――一九二〇年十月極東白衛軍の総帥アタマン・アブラモーフ将軍が、ロマノフ朝最後の皇太子に永遠の記憶を捧げたものが、このとてつもない阿呆宮だった。そして、一九二二年十一月までが、絢爛たる主教の法服と煩瑣な儀式に守られた神聖な二年間で、その間はこの聖堂から秘密の指令が発せられるごとに、建設途上にあるモスクヴァの神経をビリッとさせる白い恐怖が、社会主義連邦のどこかに現われるのであった。ところが事態は急転して、日本軍の沿海州撤退を転機に極東白系の没落が始まり、瞬く間に白露窮民の無料宿泊所と化したのであるが、一時は堂に溢れた亡命者達も、やがて日本を一人去り二人去りして、現在では堂守のラザレフ親娘と聖像を残すのみになってしまった。