Clásicos japoneses con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lee 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 410.131 caracteres · 824 pantallas
父と母
「旅が、しとうなったなあ」
金五郎は、両手を頭の下に架って、寝ころんだまま、ひとり言のように、呟いた。
今日は、仕事は休みであった。さっきまで、新之助から借りた刀の手入れをしていたが、それがすむと、自分の身体を、裏庭に面した縁の廊下に、面倒くさそうに、転がしたのである。
マンは、かたわらで、赤ン坊の襁褓をこしらえていたが、これも疲れたように、手を休めた。浴衣や襦袢の着くずしを、オシメに縫いなおしたのが、五六枚、重ねてある。
かたわらの煙管をとりあげて、おいしそうに、一服吸ってから、肩で吐息をつくように、
「骨休めに、どこかに、行っていらっしゃいよ」
と、いった。
「一人じゃ、つまらん。お前と、行きたいんじゃ。一緒になってから、まだ、新婚旅行ちゅうもんを、しちょらんからなあ」
「ウフフ、新婚旅行なんて、そんな洒落れたもん、あたしたちのような貧乏人の働人がする柄じゃないですよ。あれは、金持のするもんやわ。それに、もう、三年も経って、子供まで出来るというのに、新婚でも、ありゃせん」
「そんなこた、ないよ。これまでは、働くばっかりで、暇も取れなんだが、今なら、ボーシンの源公に後を頼んで、五日や一週間くらいなら、二人で、出られる。