Clásicos japoneses con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lee 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 410.131 caracteres · 824 pantallas
三人は、どうして自分たちの親分が、無茶な遠泳をしたかを知らない。それどころか、日ごろの水練上手を知っているので、いくらか疲れているのを見ても、格別、心配もしていなかった。追っかけて来たのは、別のことだった。
「早よ帰らんと、大時化になるちゅうて、中ノ島の漁師が話しよる」
それを告げに来たのである。
果して、夕刻ごろから、すさまじい突風を加えた大嵐になった。
玄界灘は若松の北方に位している。そのまた北方には、満洲があり、シベリヤがある。冬になると、北風の冷たさはお話にならない。しかし、夏でも、もっとも強烈な暴風はこの方角から吹くのを常とした。
昼間の上天気は仮面でもあったかのように、豪雨をまじえた北風は北九州の空を吹き荒れた。ときに、なぐりつけるように、風速二五メートルもの突風が、トタンの看板を飛ばし、屋根瓦をはぎ、掛け小屋を倒した。夜に入るにしたがって、雷鳴まで加わって、暗黒の中に、洞海湾は今にもくつがえるかとばかり煮えくりかえった。
「船を流すな」
闇のどこからか、金五郎の声がひびきわたる。声は風と雨とに消され勝ちだが、子分たちの耳には聞えた。
「大丈夫」