Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lee 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 410.131 caracteres · 824 pantallas

Aozora Bunko

せまい村の中で、こせこせと、ちっぽけな争いをくりかえしている息苦しさ、馬鹿々々しさ。伊予蜜柑の産地として、聞えているとしても、その面積は猫の額ほどにすぎぬ。金五郎の眼には、一望千里の間、ふさふさと、あらゆる季節の果実をみのらせた大果樹園が浮かぶ。

――どこか、港に出て、基礎ができてから、大陸へ渡ろう。

おさえがたい青春の血は、すでに、自由を求める漂泊と放浪との思いを、たぎる情熱と化せしめていた。その金五郎の空想の中に、

――龍。

突然、奇妙な伝説の動物が、荒々しく登場したのである。

(龍になって、昇天するんだ)

湯槽の一角に、蛇口があって、そこから、間断なく、豊富な湯がはきだされている。その湯口は、青銅で彫られた龍である。これまで、注意したこともなかったのに、今、金五郎は、その龍が、自分になにかの謎をかけ、話しかけているような気がした。

(あの、変なバクチ打ち奴、つまらんことをいいやがる。からかってやったら、本気にしやがった。誰が、親分なんかになるものか。彫青なんて、馬鹿にするな。龍になり、雲と風とに乗って、大空を翔けまわるんだ)

金五郎の大きな眼からは、狂気に似た光が、ギラギラと発散した。