Clásicos japoneses con furigana
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のわき
野分
Lee 野分 (のわき) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 93.508 caracteres · 189 pantallas
君は必要がないから悲観しないのだ」
「困った男だなあ」としばらく匙を投げて、すいと起って障子をあける。例の梧桐が坊主の枝を真直に空に向って曝している。
「淋しい庭だなあ。桐が裸で立っている」
「この間まで葉が着いてたんだが、早いものだ。裸の桐に月がさすのを見た事があるかい。凄い景色だ」
「そうだろう。――しかし寒いのに夜る起きるのはよくないぜ。僕は冬の月は嫌だ。月は夏がいい。夏のいい月夜に屋根舟に乗って、隅田川から綾瀬の方へ漕がして行って銀扇を水に流して遊んだら面白いだろう」
「気楽云ってらあ。銀扇を流すたどうするんだい」
「銀泥を置いた扇を何本も舟へ乗せて、月に向って投げるのさ。きらきらして奇麗だろう」
「君の発明かい」
「昔しの通人はそんな風流をして遊んだそうだ」
「贅沢な奴らだ」
「君の机の上に原稿があるね。やっぱり地理学教授法か」
「地理学教授法はやめたさ。病気になって、あんなつまらんものがやれるものか」
「じゃ何だい」
「久しく書きかけて、それなりにして置いたものだ」
「あの小説か。君の一代の傑作か。いよいよ完成するつもりなのかい」
「病気になると、なおやりたくなる。