Clásicos japoneses con furigana
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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
Lee 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) de 佐藤 垢石 (さとうこうせき) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 118.470 caracteres · 244 pantallas
それからもう、四十幾年を過ぎ、私は老境を迎えて、白髪の親爺となった。しかし故郷を恋う心は一層こまやかになってきた。殊に、両親を亡くしてからというものは、一入、山の姿がなつかしい。
私はこのたび、幾十年振りかで、父母のいない生まれ故郷の上新田へ帰ってきた。住まいは昔のままの草葺の朽ちた百姓家である。裏の籔にも、昔のままの竹が伸びていた。村の、あの家この家も趣を変えない。かつて青年であった村人は、皺の数を増し、髪を白くしているけれど、当時の俤を失わぬ。
野路に遊ぶ子供らを見ても亡き何兵衛、何蔵に瓜二つの子や孫である。四十年前菱形であった麦田は、いまもなお昔のままの菱形であった。
なきは、わが父母だけである。
だが、藍青の裾を長くひいた山々は、過ぎし日の温容そのままで、わが亡き父母に代わって在りし日の想い出を、私に物語るのではないか。
なんでこんなよい日本を人手に渡せよう。なんで、こんなやさしい上州へ、他人の侵入を許せよう。
その想いは、私一人ばかりが持っているのではない。大和民族として生をうけたものならば誰でも同じである。
慈母の如く、豊情豊彩のわが山川草木に、他人の一指も触れさせないために、決死斬込隊も出た。