Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ばちあたり

ばちあたり

山本 周五郎

Lee ばちあたり de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 22.391 caracteres · 44 pantallas

Aozora Bunko

なんでしょう、スライドを映しながら、そのテープをかけて聞かせて、敏夫がそれについて講演するんだっていう話しだったわ」

「すっとぼけた野郎だな、そんなことをして食っていけるんですかね」

「食う心配はないでしょ、池田からお金が来るんですもの」

「そうか」と啓三が云った、「そうだ、それがいけねえんだな、そんな金があるからまじめに働らく気になれないんですよ」

「それだけじゃない、敏夫のは生れつきだっていうこと知ってるじゃないの、小さいじぶんからおちつきのない、気の変りやすい、そのくせ片意地な子だったわ」

姉と啓三は敏夫の非難を続けていた。そのうちに私はうとうとしたらしい、昼食のときは啓三に呼び起こされて食堂車へいった。

食事まえにビールを少し飲んだのが効いたのだろう、座席へ戻って暫らくすると、私はまた仮睡にひきこまれた。

「そっとしておいてあげなさい」と姉が啓三に云った、「健さんよっぽど疲れてるのよ」

私は眼をつむったまま、頭の位置をぐあいよく直した。

仮睡は浅かった。眠りと眼ざめのあいだの不安定な意識の中で、私は敏夫のことを考えていた。母にもしものことがあれば、そして、こんどは助からないだろうと思うのだが、そうなったとき敏夫がなにかやりはしないか、というおそれが強く私には感じられるのであった。