Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ばちあたり

ばちあたり

山本 周五郎

Lee ばちあたり de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 22.391 caracteres · 44 pantallas

Aozora Bunko

二

「知ってしまえばそれまでよ、っていうんですよその唄」と啓三が云った、「あいつは音痴で君が代も満足にはうたえないんだ」

二

私は長いあいだ眼をつむっていた。知ってしまえばそれまで、――死んでしまえばそれまで、……どちらも敏夫の口からよく聞いた文句である。なにか流行歌の一節らしいが、文句はそれだけ、曲もでたらめで、そのときによって違っていた。その唄がいつごろ流行しはじめたものか私は知らない、まだ郷里の高校にいたとき聞いたようにも思うが、慥かではない。けれども敏夫がうたいだしたときのことはよく覚えているし、そのとき自分の受けたショックも、いまなお忘れがたいほど深いものであった。

「しかしその」と啓三が姉に云っていた、「どうしてまた敏公のやつ、そんなテープ・レコーダーなんか持っているんです」

「なんていうのかしら、自分では巡回講演だなんて云ってたけれど」

「講演ですって」

「あたしよくは聞かなかったのよ」と姉はまたタバコに火をつけた、「つまりね、鉄なら鉄、炭坑なら炭坑を写真にとって、スライドってものにするんですって、そしてそれといっしょに、そこで働らいている技師とか職工とか、石炭なら坑夫とかなんだとかっていう人たちに、それぞれ話しをさせてテープに録音するのよ、それが出来たらその二つを持ってほうぼうをまわるの、たいてい学校