Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Lee 丹下左膳 (たんげさぜん) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 241.861 caracteres · 480 pantallas

Aozora Bunko

左膳はそれも耳にはいらぬようすで、

「イヤ、あらたかなもんだ。外から拝んでいたんじゃアきりがねえ。どれ、そろそろ中身を拝見するとしようか」

ひとりごちつつ、壺のふたに手をかけた。

なるほど。

耳こけ猿という銘のとおりに、壺の肩に三つある小さな耳のひとつが、欠けている。この中に、日光御修営を数限りなくひきうけてもビクともしない大財産と……イヤ、今は一藩の生命とが納められているかと思うと、この大名物がひとしお重々しく、ありがたく見えるのもふしぎはない。

その、左膳の手が壺の口にかかったのと。

かんしゃくを起こしたお藤姐御が、

「お前さん! 火事ですってのに、あの半鐘が聞こえないのかえ。男の役に、火の手がどこだぐらい見てきておくれよ」

と叫んだのと、同時だった。

おまけに。

「おい、ありゃアお前、本所の三つ半じゃアねえか。近そうだぞ」

「辰のやつア走りながら刺子を着て、もう行っちめえやがった。早え野郎だ」

「いま時分また、なんの粗相で……」

「ワッショイワッショイ、火事と喧嘩ア江戸の花でえ」

「アリャアリャアリャ!」

まるでお捕物みたような騒ぎ、

「他人の家が焼けるんだ。