Clásicos japoneses con furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lee 五瓣の椿 (ごべんのつばき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 149.721 caracteres · 296 pantallas
こうなればいよいよ、お由と縒を戻しておかなければならない、そう思ったとき、おりうから「知らせ」があった。――豊後大掾の家で芝居がつき替ったのを知ったあと、中村座へまわってみると、楽屋番の平造が手紙を渡した。引越し先がわからないので、どうしようかと迷っていたところだ。平造がそんなことを云うのを聞きながしにして、蝶太夫はいそぎ足にそこを去った。
彼は胸がときめいているのを感じた。少年のころ恋人から文を貰ったときのように、みぞおちのところが熱くなり、足が地面から浮くような気持だった。
「こんなこともあるんだな」彼は自分でてれながら云った、「おい蝶太夫、きさまにもそんなところがあったのか」
場所は深川の門前仲町「岡田」という料理茶屋で、時刻は午後四時と書いてあった。走ってでもいかなければまにあわない、蝶太夫は慌てて駕籠をひろった。――二日も湯にはいっていないし髪も三日まえに結ったままで、元結の緩んでいるのが気になった。髭の濃い性で、朝剃ったのだが、撫でてみると口のまわりや顎がもうざらざらしていた。
「逢曳きにゆく風態じゃないな」彼は舌打ちをした、「これじゃあ濡れ場も怪しいもんだ」