Clásicos japoneses con furigana
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ぼんじんでん
凡人伝
佐々木 邦
Lee 凡人伝 (ぼんじんでん) de 佐々木 邦 (ささきくに) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 98.944 caracteres · 202 pantallas
「しかし大層感に入って御傾聴のように拝見しましたよ」
「いやはや、お恥かしい次第です」
「いや、然ういう意味で申上げたんじゃありませんけれど」
「あゝいう切羽詰まった語り物は何うもいけません」
「何故ですか?」
「身につまされます」
「戦争にお出になったからでしょう?」
「それですよ」
「先生の功名談を承わったことがありませんが、今度一遍伺わせて戴きたいものです」
「私のは功名談なんて景気の好いものじゃありません。懺悔話ですから、御所望されると困ります」
「却って結構じゃありませんか? 人殺しを自慢するようじゃ仕方ありません」
「河原さんは流石にお考えが違いますな。それじゃいつか聴いて戴きましょうか?」
「是非願います」
「斯うっと、早速ですが、今晩いらっしゃいませんか?」
「上ります」
「あなたのように道理の分った人に聴いて戴けば、私の念が幾分届くというものです」
と老河原さんは満足のようだった。
その晩、老河原さんを訪れた時、私は物語に多大の期待を置いていなかった。腕の冴えない慌てものと聞いていたから、
「先生は戦争でお怪我はなさいませんでしたか?」
と先ず安否から尋ねた。