Clásicos japoneses con furigana
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あづまばし
問はずがたり・吾妻橋 他十六篇
永井 荷風
Lee 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇 (あづまばし) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 75.586 caracteres · 159 pantallas
百舌の鳴きわたる木々の梢は薄く色づき、菊や山茶花のそろそろ咲き初めた農家の庭には柿が真赤に熟している。歩くには好い時節である。買出電車から降りた人達はおのずと列をなして、田舎道を思い思い目ざす方へと前かがまりに重い物を負いながら歩いて行く。その身なりを見ると言合せたように、男は襤褸同然のスェータか国民服に黄色の古帽子、破れた半靴。また草履ばき。年は大方四十がらみ。女もその年頃のものが多く、汚れた古手拭の頬冠り、つぎはぎのモンペに足袋はだしもある。中には能くあんな重いものが背負えると思われるような皺だらけの婆さんも交っていた。
やがて小半時も歩きつづけている中、行列は次第次第にとぎれて、歩き馴れたものがどんどん先になり、足の弱いものが三人四人と取り残されて行く。その中には早くも路傍の草の上に重荷をおろして休むものも出て来るので、同じような身なりをして同じような荷を背負っていても、暫くの中に買出電車から降りた人だか、または近処の者だか見分けがつかないようになった。
道しるべの古びた石の立っている榎の木蔭。曼珠沙華の真赤に咲いている道のとある曲角に、最前から荷をおろして休んでいた一人の婆さんがある。