Clásicos japoneses con furigana
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あづまばし
問はずがたり・吾妻橋 他十六篇
永井 荷風
Lee 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇 (あづまばし) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 75.586 caracteres · 159 pantallas
羊羹
新太郎はもみじという銀座裏の小料理屋に雇われて料理方の見習をしている中、徴兵にとられ二年たって帰って来た。しかし統制後の世の中一帯、銀座界隈の景況はすっかり変っていた。
仕込にする物が足りないため、東京中の飲食店で毎日滞りなく客を迎えることのできる家は一軒もない。もみじでは表向休業という札を下げ、ないないで顔馴染のお客とその紹介で来る人だけを迎えることにしていたが、それでも十日に一遍は休みにして、肴や野菜、酒や炭薪の買あさりをしなければならない。このまま戦争が長びけば一度の休みは二度となり三度となり、やがて商売はできなくなるものと、おかみさんを初めお客様も諦めをつけているような有様になっていた。
新太郎は近処の様子や世間の噂から、ぐずぐずしていると、もう一度召集されて戦地へ送られるか、そうでなければ工場の職工にされるだろう。幸にこのままここに働いていて、一人前の料理番になったところで、日頃思っていたように行末店一軒出せそうな見込はない。いっそ今の中一か八かで、此方から進んで占領地へ踏出したら、案外新しい生活の道を見つけることができるかも知れない。