Clásicos japoneses con furigana
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あづまばし
問はずがたり・吾妻橋 他十六篇
永井 荷風
Lee 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇 (あづまばし) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 75.586 caracteres · 159 pantallas
千代子も以前と変らず、いそいそして出て行くものの、話は楽屋の部屋でするのと同じく、誰にきかれても差支のないような事ばかりに限られた。行末どうなるだろうと云うような、希望も心配もともども烟のように消えてしまったのだ。
編物は再び千代子の手には取上げられなかった。鏡台を並べた仲間の女達が、「スェータどうして。もう出来たの。」ときくと千代子は事もなげに、「肩が凝るから当分おやめよ。」と言捨てて読みかけの小説から目をそらさなかった。
毎晩道づれになる蝶子は浅草小島町辺に二階をめっけたと言って、青砥の疎開先から引移った。演出家の女房になった亀子のお腹はいよいよ大きく張出して、暫く舞台には出られなくなった。新に二人の若い女が補欠に雇入れられたが、いずれも道がちがうので、千代子は一人きり高砂へかえる電車の中では編物の代りに毎日小説本をひろげていた。
或夜楽屋を出ると雨が降って来そうな空合である。千代子はいつもよりまた一層急いで、浅草東武線の駅の階段を駈け上って行く時、後から呼びかけるものがあるので、振返って見ると、それは山室よりもずっと前から一座になっていた増田と云う男優である。