Clásicos japoneses con furigana
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あやかしのつづみ
夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓
夢野 久作
Lee 夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓 (あやかしのつづみ) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 76.558 caracteres · 153 pantallas
「何か御用で……」と妻木が顔を出した。未亡人はいつの間にか呼鈴を押したらしい。
「お前用事が済んだのかえ」と云いつつ未亡人はジロリと妻木君を見据えたが、その一瞬間に未亡人の眼が、冷たいというよりも寧ろ残忍な光りを帯びたのを私はありありと見た。私の神経は急に緊張した。嘗てきいていた「美人の凄さ」が一時に私の眼に閃めき込んだからである。そうして同時にその「美しい凄さ」にさながら奴隷のように支配されている妻木君――若先生の姿がこの上なくミジメに瘠せて見えたからである。
「ハイ。すっかり……」と妻木君は女のように、しとやかに三つ指を支いた。
「……じゃこちらへお這入り。失礼して……あとを締めて……それから、その鼓を四ツともここへ……」
その言葉の通りに妻木君は影のように動いて四ツの鼓を未亡人と私の間に並べ終ると、その傍にすこし離れてかしこまった。
未亡人は無言のまま四ツの鼓を一渡り見まわしたが、やがてその中の一つにジッと眼を注いだ――と思うとその頬の色は見る見る白く血の気が失せて、唇の色までなくなったように見えた。
私たち二人も固唾を呑んで眼を瞠った。
いい知れぬ鬼気がウッスリと室に満ちた。