Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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やまとこじふうぶつし

大和古寺風物誌

亀井 勝一郎

Lee 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) de 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 108.647 caracteres · 215 pantallas

Aozora Bunko

云うまでもなく千変万化如意救済の願いをあらわしているのだが、しかし経文や願そのままのリアリズムに私は疑問をもつ。千手観音なるがゆえに千手あるのは当然かもしれないが、何となく奇怪で薄気味わるい。こうしてまでも千手にする必要があるのであろうか。飛鳥や白鳳期には絶無と云ってよく、天平も末期からこの観音が造顕されはじめたようだ。たとい仏であり菩薩であろうと、また私のひそかな願いが唯信をもって対することであろうと、私はやはり美しさに拘泥せざるをえない。美を無視して信心のみから仏を仰ぐことは出来かねるのだ。美しくなければ私はその信仰を疑う。

しかし私はこの千手観音を無視していいとは夢にも思わない。いま少しのところで美しくなる筈だ。私は自分の念願のなかで、千手観音をひそかに補うのである。つまり想像の裡だけでも美しい菩薩として仰ぎたいのだ。私はこのみ仏の前に立って、眼をほんのかすかにひらいて眺める。全体の姿がおぼろげにみえてくる。千手はもはや千手ではない、全体の輪郭だけが幽かにうつってくる。すると驚くべきことに、千手はそのまま翼と化すのだ。翼をひろげた観世音がまさに飛行の姿で佇立している。