Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lee 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) de 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 108.647 caracteres · 215 pantallas
白鳳の光
千年の塵に蔽われたまま、まことにさりげない様子で、崩れた御堂もいとわず深い沈黙をつづけている。我々のさかしらな論議は、この沈黙の前で何ものであったろう。
聖観音の瞳はあわれむごとく半眼にひらいている。六尺ゆたかの堂々たる体躯ですらりと立ちながら、稍々胸を張り、気高い額を正面に向けたまま永遠の沈黙の姿である。左手を静かに上に挙げて施無畏の印をむすび、右手は下方ゆるやかにさげたまま施満願の印をむすんでいる。観音経の中の、「諸々の善男子よ、恐怖する勿れ、汝等まさに一心に観世音菩薩の名号を称ふべし。是の菩薩は能く無畏を以て衆生を施し給ふ。」――をあらわしているのであろう。印をむすんだその指の一つ一つが花びらのように美しく繊細である。崇高な尊貌と森厳重厚の体躯から咲き出たようなこの無比の指が、沈黙の奥深くにひそむ観音の慈心をわずかに示しているのだ。即ち一切を摂取して捨てず――。
――昭和十四年春――
白鳳の光
西の京の駅をおりると、すぐ眼前の松林のあいだに薬師寺の東塔がみえる。塔の九輪頂上にそそり立つ水煙が、澄みわたった秋空にくっきり浮び上っている。蜻蛉のとびかう草叢の径をとおって、荒廃した北大門をくぐり、直ちに金堂へまいる。