Clásicos japoneses con furigana
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ハムレット
怪奇探偵小説傑作選3 久生十蘭集 ハムレット
久生 十蘭
Lee 怪奇探偵小説傑作選3 久生十蘭集 ハムレット (ハムレット) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 72.034 caracteres · 142 pantallas
つまりハムレットは一九三五年の二月中に正気にかえり、記念のためにその日付を彫りつけておいたのです。日数のところが0になっているのは、何日から正気だったのか日の境界がじぶんにもはっきりしなかったためでしょうが、いろいろの事情からおすと、ハムレットの意識の目覚め……正覚は夜中から朝までの間であったろうと思われるふしがあります。
ハムレットの正覚は厚い雲の中から月が顔をだすように非常に徐々に緩慢に進行して、正常な自意識に到達するまでには相当な時間がかかったのでしょうが、意識が正常の閾に達したとき、ハムレットはタイツを穿いて剣をさげているじぶんの阿呆なすがたに気がつき、意味をつかめずに茫然としていたにちがいありません。さてその時期がすぎ、この疑問を解決するためにたいへんな努力をしたのち舞台でレーヤーチーズと決闘した私演会の記憶をたぐりだし、じぶんはその日のまま相当に長い年月の間気がちがっていたらしいということ、だれかが幕の向うから強く頭を叩き、それが狂気の発端になっているということ、じぶんはいまもなにか容易ならぬ危険の中にいるのだということ、そうして事件の真相を十分に見きわめるまでは突然の正覚をひとにさとらせぬほうがいいというところへ到達したのでしょう。