Clásicos japoneses con furigana
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かいいくろひめおろし
怪異黒姫おろし
江見 水蔭
Lee 怪異黒姫おろし (かいいくろひめおろし) de 江見 水蔭 (えみすいいん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 12.963 caracteres · 26 pantallas
「怪しき女!」
高田殿は振向いた。初めて見たその顔!
「あッ」
昼間三度も見た若衆の顔!
守刀を早速に取って袋のままに丁と打った。
「覚悟ッ」
滝之助は本気に復って鎌を取上げて身構えた。この時既に高田殿は、守刀を抜放していた。
広くはあっても限りある蚊帳の中、振上げる度に鎌は引懸った。
守刀を突き込む刃先の鋭さには勝てなかった。女性ながらも武将の後室。
颯と白紗の蚊帳に血飛沫が散って、唐紅の模様を置いた。
「人々出会えッ。曲者は仕留めたぞえ」
滝之助はこうして怨恨を呑んで死んだ。巨万の富はどこへ隠されたか、そのままになったのであった。大久保石見守長安が隠したその他の分も、ついに発見されぬのであった。
「高田殿は乱行、若き男子を屋敷内に引入れて、寵衰えると切殺し、井戸の中に死骸を捨てられるよ」
そういう風説が江戸中に拡がった。これは併し冤罪である事は、後世の歴史家が既に証明している。二代将軍の三女というので、幕府でも優遇したが、旗本の若者達、喧嘩口論して人を斬り、罪を得たその時には、皆高田殿へ駈込んだのであった。
高田殿は良人忠直卿の事を考えて、常に慈悲深く、それ等の人を庇護された。