Clásicos japoneses con furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Lee 新潮記 (しんちょうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 155.541 caracteres · 305 pantallas
秀之進は自分の感情を押し切るような口調で云った、「その苦痛があって、はじめて、なお踏み越えてゆく者の真実がたしかめられるのではないのですか、藤田先生は『壮烈をたのしむ徒』ということを云われました、わたくしもそういう人々を知っています、かれらはおのれの血に生きている伝統を棄てることにもさして苦痛を感ぜず、易々として時勢の方向に順応しているようです、そこでは『われこそ』がすべてを決定し、真実はそのあとにある、それでは困るのです、生れるものに大きな意義があるとすれば、生みの苦痛も大きくなければなりません、その苦痛を正しく踏み越えるところに真実があるのです」
「それではおまえは」と宗兵衛が云った、「おまえはかれらがおれに代ってりっぱに事を為し遂げられると思うのか」
「わたくしにはわかりません、けれども大切なのは為す事の結果ではなくて、為さんとする心にあると思います、その心さえたしかなら、結果の如何は問題ではないと信じます」
「……おれが事を急ごうとしたのは」宗兵衛はふと調子をさげた声で云った、「幕府の政治の方向が時局糊塗に傾きつつあるのを察したからだ、ひと口に云うと大政奉還をさえやりかねない、万一にも幕府にその手を打たれたら、天下に漲る勤王の理想はその名目を奪われてしまう、水戸老公を起用する機運が動きだしたことで、おれ