Clásicos japoneses con furigana
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いなかがえり
林芙美子随筆集
林 芙美子
Lee 林芙美子随筆集 (いなかがえり) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 58.157 caracteres · 118 pantallas
日本の言葉の一つもない欧洲の空で、白秋氏の詩でも、犀星氏の詩でも春夫氏の詩でも声高くうたってみると、言葉の見事さに打たれます。私は日本の言葉を大変美しいと思い、ひそかに自分の母国語にほこりさえ持ちました。倫敦の宿では川端康成氏の落葉と云う小説にも言葉の美しさを感じました。
長い小説を書きたいと思いましたが、根気がないものだから、一枚も出来ませんでした。ここでは、紀行文風な随筆ばかり書いていました。日本へ帰れるあては依然としてないのです。ここでも眼を患いましたが、歩くのに不自由はしませんでした。三月に再び巴里までまい戻って、私は日本に帰りたいことにあせり始めました。
焦々するのは、詩一つ出来なかったからでしょう。巴里に帰ってみると、あてにしていた稿料が、本人行先不明で日本へ返されていたのにはがっかりしました。
昭和七年の夏、山本改造社長の好意で旅費を送って貰い、私は欧洲から再び日本の土を踏むことが出来ました。日本へ上陸するなり考えたことはすばらしい詩を書きたいと思ったことです。血の気のない古色をおびた小説が私の眼にうつり始め、私は日本の若い作家に軽い失望を感じたりしたのです。