Clásicos japoneses con furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lee 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 169.810 caracteres · 345 pantallas
今自動車が押し分けて行く風景は、人がぞろぞろと通り、建物も整然として、道はきちんと舗装してある。あの時も人通りはあったのだろう。しかしそれは五郎の印象に残っていない。廃墟の姿だけだ。五郎は背をもたせたまま、窓に移る風物を眺めていた。
「さっきね、何か這い出していると言いましたね」
丹尾が言った。
「ほんとにそう思ったんですか?」
「そう」
「ふしぎだとは思わなかったんですか?」
「ふしぎ? いや」
五郎は居心地悪く答えた。
「見違いかと思ってたんだ。君が気がついたから、見違いじゃないと判ったけれどね」
丹尾は黙っていた。
「もっともあそこから虫が這い出しても、ふしぎだとは思わない。世の中にそんなことは、ざらにあると思う」
車は市街を通り抜けた。しだいに家並がまばらになり、海岸通りに出た。桜島が青い海に浮び、頂上から白い煙をはいていた。
「ところで――」
五郎は視線を前路に戻しながら言った。
「君は東京から飛行機に乗ったのかね?」
「そうですよ。気がつかなかったんですか?」
丹尾は答えた。
「羽田からずっとあんたの横に坐っていましたよ。二度話しかけたけれど、あんたは返事しなかった」