Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

Lee 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) de 橘 外男 (たちばなそとお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 198.400 caracteres · 387 pantallas

Aozora Bunko

いずれにせよ、運命の主人公自身は、いささかの犯罪容疑者でもないのだから、それらは警察の探索を許さぬ、個人の自由の世界と、いうところであったろう。

人の住んでいないはずの、宗源寺の山門から時々怪火が洩れるとか、人の呻き声が聞えるという、頻々たる投書に基いて、地元柏野警察署が刑事の一群を踏み込ませたのは、本年の一月二十一日、朝から大雪が降った大寒の入りの当夜であった。所轄署としては、勿論近在の博徒たちの開帳で、刃傷の結果怪我人を出していると踏んだのであるが、踏み込んだ時には既に主人公も病母も、枕を並べて死んでいた。

主人公がまず、病母に毒を嚥下させ、次いで自ら服毒したものと見られたが、死後二昼夜を経過していると推定された。主人公は、病母に対してTの字型に、さながら幼児が母の懐でも掻い探る如く、左手を病母の――革のヴェストンを着けた左手を、病母の脇の下へ差入れ加減に、病母は蒲団から半身を乗り出して、崩れ落ちた手を心持青年の背へ、かけるような恰好であったといわれている。

死んで病から解き放たれて、狂った心にも初めて我が子が、遠く海外から帰って来たことが、わかったのかも知れぬ。