Clásicos japoneses con furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lee 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) de 橘 外男 (たちばなそとお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 198.400 caracteres · 387 pantallas
もうお台所のほうへきてるんじゃないでしょうかねえ」
と雑布をかけながら藤はふりむいて答えました。
「そう……どうもありがとう。それならわたしも安心したけれど。じゃ、もうきてるでしょうよ。……どうもありがとうよ」
と安心した八重は、とんとんと長い廊下をわたって、ひきかえしてきました。そうして台所へいってお膳ごしらえをするまえに、いましまいきれなかったきものを、たんすのなかへかたづけてしまおうと思って、もういちど納戸の中へはいってきたのですが、そのひょうしに八重は、全身総毛だたんばかりのおどろきにうたれたのです。
なんとそこには、ついたったいま別れてきたばかりの藤が、しょんぼりとたたずんでいるではありませんか!
「あらまあお藤さん、なんてあんたは人をびっくりさせるの? どこをまわってわたしよりさきにここへきたの? いまわたしと口をきいてたばっかりじゃないの?」
と八重はびっくりして声をかけました。
しかし、藤はなんにも返事をしないのです。ただそこに突ったっているばかりなのです。もう夕方ですから日はしずんでいます。ことにここは広い中廊下にさえぎられたうすぐらい部屋で、青白い月の光線がさしているばかりなのでしたが、その青白い光線をうけてしょんぼりたっている藤のすがたは、まるで幽霊のようなすがたに見えるのでした。