Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

ja-reading.com

Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Lee 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 178.724 caracteres · 355 pantallas

Aozora Bunko

しかし、それが詩になってしまってはいけない。世間普通の人にも、すらすらと受けいれられるような文句でなければならないのだ。そう思うと、詩を作るになれた彼の頭は行きつもどりつするのだった。そのために、彼は、お芳が台所のあとかたづけを、めずらしく女中のお金ちゃんだけに任して、いそいで大巻をたずねたのも、そのあと間もなく徹太郎がやって来て、俊亮と座敷の縁で何か話しこんでいたのも、まるで知らないでいたほどだったのである。

彼が、どうやら自分で満足するような文句をまとめあげたのは、もう真暗になった門先をぶらついていた時だった。彼は、それをノートに書きしるすために、いそいで家にはいり、階段をのぼりかけたが、その時はじめて徹太郎の来ているのに気がつき、思わず立ちどまって耳をすました。

「時勢が時勢でないと、こんなことはむしろ美しいことですがね。」

徹太郎の声である。話はもう大よそすんだらしい口ぶりである。

「次郎がどこまで考えてそんなことをやろうとしているのか、とにかく、あとで私からよくききただしてみることにしましょう。」

「ええ、そうなすった方がいいと思います。ほっておいて世間をさわがすようなことになっても、つまりませんからね。