Clásicos japoneses con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lee 次郎物語 (じろうものがたり) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 178.724 caracteres · 355 pantallas
、今では、淡いながらも、それが心地よい一種の匂いとなって彼の血管を流れているのであるが、彼女と何かまじめな問題について話しあったりしていると、彼は時おりそうした失望を感じ、淡い匂いが血管からすっと消えて行くような気になるのである。もっとも、そうした失望も、さほど深刻には彼の心にひびかないらしく、淡い匂いが、まもなくまた彼の血管にただよいはじめる。それは、恐らく、聰明ではあるが普通の女の常識の限界を一歩ものりこえない、ただすなおで、親切で、物わかりのいい道江の性質が次郎にもよくわかっていて、自然、彼女に求むるところが最初からそう大きくなかったからでもあろう。また道江が気だてもよく、年頃もちょうど兄の恭一にふさわしいというので、祖母をはじめ、俊亮や、お芳や、大巻の人たちの間に、よりよりその話があるのをきいており、彼自身でも、何かのひょうしに、将来の兄嫁に今のようなぞんざいな口のききかたをしてもいいのか知らん、などと考えたりするほど、それを決定的なことのように思っているせいもあるだろう。とにかく、彼が道江に対してしばしば失望を感ずるのも事実だし、また、そのために少しでも彼女をうとんずる気になれないというのも事実である。