Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

ja-reading.com

Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

たきぐち

滝口

山本 周五郎

Lee 滝口 (たきぐち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 49.815 caracteres · 99 pantallas

Aozora Bunko

が、私にはその一つ一つが、血をふく傷のようになまなましく、思いだすたびにいまでも胸を抉られるように感じるんです」

「べつに退屈ではないが」安宅は冷や酒を啜ってから、なだめるような眼で相手を見た、「そこまでつきつめた気持でいて、今日までになにか打つ手はなかったのかね」

芳村伊織はそっと首を振った、「ええ、待つこと以外にはね」

「待つとは、なにを」

「初めてあなたに話しかけたとき」と芳村は力のぬけた調子でゆっくりと云った、「あの女のために身をほろぼした男が幾人もあった、と云いました、実際に身をほろぼした男が幾人もいたのを、私は知っているんです」

益村安宅がきき返した、「なにを待っているのか、とおれはきいたんだよ」

「これまで話したことで、察してもらえると思ったんですがね」

「おれは銭勘定をする商人のように、現実的な人間だと云った筈だ、想像や推察でものごとの判断などはしないよ」安宅はちょっと皮肉な口ぶりで云った、「けれども、男がそんなに長いあいだ、一人の女を思い詰めていたということは信じかねるな」

「世の中には、あなたの思いもよらないような人間や出来事が、幾らもあるものです」