Clásicos japoneses con furigana
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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
Lee 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) de 田山 花袋 (たやまかたい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 156.097 caracteres · 312 pantallas
色桃に見ると四の句と五の句を分けたところに言うに言われぬ匂いがあるようにも思われた。かれは一首ごとに一頁ごとに本を伏せて、わいて来る思いを味わうべく余儀なくされた。この瞬間には昨夜役場に寝たわびしさも、弥勒から羽生まで雨にそぼぬれて来た辛さもまったく忘れていた。ふと石川と今夜議論をしたことを思い出した。あんな粗い感情で文学などをやる気が知れぬと思った。それに引きかえて、自分の感情のかくあざやかに新しい思潮に触れ得るのをわれとみずから感謝した。渋谷の淋しい奥に住んでいる詩人夫妻の佗び住居のことなどをも想像してみた。なんだか悲しいようにもあれば、うらやましいようにもある。かれは歌を読むのをやめて、体裁から、組み方から、表紙の絵から、すべて新しい匂いに満たされたその雑誌にあこがれ渡った。
時計が二時を打っても、かれはまだ床の中に眼を大きくあいていた。鼠の天井を渡る音が騒がしく聞こえた。
雨は降ったりはれたりしていた。人の心を他界に誘うようにザッとさびしく降って通るかと思うと、びしょびしょと雨滴れの音が軒の樋をつたって落ちた。
いつまであこがれていたッてしかたがない。