Clásicos japoneses con furigana
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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
Lee 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) de 田山 花袋 (たやまかたい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 156.097 caracteres · 312 pantallas
五十
「二十六年故山を出でて、熊谷の桜に近く住むこと数年、三十三年にはここ忍沼のほとりに移りてより、また数年を出でずして蝸牛のそれのごとく、またも重からぬ殻を負ひて、利根河畔羽生に移らんとす。奇しきは運命のそれよ、おもしろきは人生のそれよ、回顧一番、笑って昔古びたる城下の緑を出でて去らんのみ。歴史の章はかくのごとく、またかくのごとくして改められん」
羽生の大通りをちょっと裏にはいったところにその貸屋があった。探してくれたのは荻生さんで、持主は二三年前まで、通りで商売をしていた五十ばかりの気のよさそうな人であった。下が六畳に四畳半、二階が六畳、前に小さな庭があって、そこに丈の低い柿の木が繁っていた。家賃が二円五十銭、敷金が三月分あるのだが、荻生さんのお友だちならそれはなくってもよいという。父親も得意回りのついでに寄ってみて、「まア、あれならいい!」と賛成した。
一週間の農繁休暇を利用して、いよいよ移転することになった。平生親しくした友だちは多くは離散して、その時町にいるものは、活版屋をしている沢田君ぐらいのものであった。清三はその往来した友の家々を暇乞いをして歩いた。