Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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こどうひゃくわ

胡堂百話

野村 胡堂

Lee 胡堂百話 (こどうひゃくわ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 124.386 caracteres · 248 pantallas

Aozora Bunko

「逗子は、魚がうまいから……」

と、私がいうと、

「ウナギは大すきだが、三度三度ウナギめしというわけに、ゆかないね」

鏡花式の舌鋒が、ようやく鋭い回転をはじめる。強度の近眼鏡をかけた細面。きざんだような高い鼻に、眉は遠山の霞とでも言おうか。そのくせ、銀キセルだけは、いささか、持ち重りのしそうなのを、吐月峰にたくましい音を立てる。

「小説で飯が食えるようになるまでは、一通りや二通りでは、ありませんよ」

と、いうことから、指にはめた銀指輪(その頃は、男も指輪をはめた)まで、金十五銭也で売りとばしたが、母のかたみの水晶のウサギだけは、石にかじりついても、と、守り通したという話。

文学の問題は、もちろん話したが、実をいうと私は、ある一時期は、すっかり、鏡花に傾倒し、その後、逆に反発を感じて、鏡花の影響から、何とかして抜け出そうと骨を折っていた。従って、あんまり、身を入れて聞かなかった。きちょうめんな割り膝で、そのくせ、勇ましく腕まくりして、爽快に語る風貌だけが、記憶の底に生々しい。

鏡花氏とは反対に、語り口は訥々としていても、あふれるような含蓄のあったのが、酒仙といわれた大町桂月氏である。