Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lee 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 410.131 caracteres · 824 pantallas

Aozora Bunko

「その変な男の嫁女になったとよ」

「どうせ、沖仲仕のばくち打ちで、彫青かなんかしたゴロツキじゃろ?」

「彫青なんて、そがあな馬鹿なもん、しとるもんけえ」

「なんでもええ。そがあな男とは別れんさい。籍に入っとるわけじゃ、あるまあが?」

「籍には、入っとらんけど……」

「子供は?」

「出来んわ」

「そんなら、なんでもなあ。マン坊、頼む」

「ちょっと、待って」

マンは、時次郎の手を払うと、かたわらの煙管を取りあげた。落ちついた手つきで、キザミをつめ、静かに、一服、吸った。

時次郎の眼は、妖しくぎらつき、額に、大粒の油汗がにじみ出ていた。

マンは、頬をへこませて、煙を深く吸いこみ、それから、胸を張るようにして、フウッと、それを吐きだした。火鉢の縁に、雁首をたたきつけて、火を落した。

「時やん」

「う?」

「玉井金五郎が帰るまで、待って」

「いつ、帰るんじゃ?」

「わからんわ」

「どこに、行っとるんじゃ?」

「一週間ほど前に、二日市にある武蔵温泉というところに行ったとよ」

「ほうれ、そがあなことよ。温泉に行って、一週間も帰らんといやあ、そこで、淫売みたよな湯女と、でれついとるに定まっとる。