Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Lee 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 410.131 caracteres · 824 pantallas

Aozora Bunko

「やります」

角助も酔っていて、そういうと、坐りなおした。正方形の醜悪な顔が、ベンガラ色になっている。膝のうえに乗せた手には、左の小指、薬指、右の小指、いずれも、第二関節から先がない。丸太ン棒のようである。

「三味線は、要らん。日露戦争の尻とり歌じゃ。言葉の最後の字が、次の言葉の頭になっとるところを、照覧あれ」

「講釈は、それくらいで、ええ」

「そんなら」

角助は、天に顔をあげ、「日本の、乃木さんが、凱旋す、雀、目白、ロシヤ、野蛮国、クロポトキン、きん玉、マカローフ、褌、しめた……」

「ちょっと待った」と、女親分が、笑いながら、「角助どんは、しめようにも、褌がないのとちがうか。いつも、ドジばかり踏んで、玉井から、赤恥かかされちょるが……」

「玉井金五郎は、かならず、わたしが殺しますよ。まあ、見とって下さい」

芸者の中にいるお京の眼が、その言葉に、妖しく、光った。

「玉井組も、今日は、来とりゃせんかね」

「来とりますよ。幹部だけらしゅうて、六ゾロの源公たち、五六人、神社の裏手で、こっそりやっちょります」

「金五郎は?」

「さあ、後から来たかも知れんけんど、わたしが見たときは、子分だけでした」