Clásicos japoneses con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lee 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 410.131 caracteres · 824 pantallas
「薬なら、おれが買うて来るよ。あんたが、居った方が、ええ」
「時やんでは、わからん。そんなら、頼んだばい」
マンは、せかせかと、玄関に出た。風呂敷包みを抱きとると、格子を開け、深夜の戸外に飛びだした。戸をしめるとき、なんとなし、家の中全体を見まわした。きゅうと、胸が、ワイヤの箍ででも、締めつけられるようである。
提灯の明かりを頼りに、静まりかえった新仲町を抜けた。夜気が冷たい。天には、星が一杯、火の粉のように、頭のうえに振りかかる近さできらめき、マンの行く手で、つづけさまに、二つ、星が流れた。マンは、その流星に、ひやりとしたものを感じた。足のすくむ思いがした。
「永田清涼飲料水製造所」の白い看板が、夜闇に、ぼんやりと、浮きあがっている。
「今晩は」
戸をたたくと、すぐに、ヨネが顔を出した。永田杢次も、出て来た。まだ、起きて、誰かと碁を打っていたらしい。
「おマンじゃないか。今ごろ、他所行支度で、どげえしたとな?」
「広島のお父さんと、お母さんとが、どっちも悪いという知らせがありましたけ、これから、ちょっと、田舎に、帰って来ます」
「また、急なことじゃなあ。今からちゅうたって、汽車があるまい?」