Clásicos japoneses con furigana
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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Lee 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) de 小山 清 (こやまきよし) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 239.741 caracteres · 486 pantallas
。吉原の鳶頭のおかみさんで、家の者はこの人のことを、「ばあちゃん。」と親しく呼び馴染んでいた。吉原の鳶職は四番組で、江戸の川柳に「浅草に過ぎたる物が二つあり、蛇の目の纏、加藤大留」とある、昔は名にしおう新門辰五郎親分が籍を置いたという、その蛇の目の纏を預っていた。この頭の家で盆に出入り先に配る団扇にその纏の絵のついていたのを私は覚えている。頭は名代のデブ頭で睨みの利いた人であったが、おかみさんは「ばあちゃん。」という呼び名でもわかるように、家業柄に似ずおとなしいひとの好い人であった。ばあちゃんは歯がお神楽の獅子を見るようにずらりと金歯であった。私はいまでも金歯の目立つ人を見ると、このばあちゃんのことを思い出す。住居がやはり水道尻で池の前にあったので、ときどき私の家にもらい風呂にきては話込んでいった。祖母のいい話相手で、祖母はこの人と話しながら、ふたこと目には「そうなんだよ、ばあちゃん。」とか「まあお聞きよ、ばあちゃん。」とか云ったりした。「なにごとも時世時節でね。」という述懐めいた言葉が、ばあちゃんの口癖であった。私はいつもひとり早く寝かしつけられてしまうのだが、ふと目が覚めたときに、茶の間の方から大人たちの話声が聞えてくることがある。