Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
らん
蘭
山本 周五郎
Lee 蘭 (らん) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 10.247 caracteres · 21 pantallas
「わたくしには、お返辞の申しあげようがございません」かの女はまつげの長い目を伏せ、ひざの上で、かたく両手の指をからみあわせながら、戦くような声でこう答えた。「……おじさまや、おばさまのおっしゃるように、そしてあなたさまのおぼしめしどおりにいたしたいと存じます」
もちろん、否定の色はいささかも見えなかった。すべてが終った。これ以上は未練だ。心のうちで、そう自分に云い聞かせながら、しかしおそらく顔は青ざめたことだろう。生之助は追いたてられるような気持でそのへやを出た。
明くる日のことだった。城中で昼げの休息に平三郎の詰所へ行くと、近習番の者が五人ほど集まって、何か論じ合っていた。みんなかたい表情で、けわしく目を光らせて、ひざを突き合わせるような姿勢をしていた。平三郎だけは、いつもの端正さを失わず、目を伏せ、口をひき結んで、かれらの云うことを聞いていたが、はいって来た生之助を見ると、手をあげて話をとめ、「少し、とりこんでいるから下城の時……」と云った。生之助はうなずいて、そのまま引き返した。……午後からにわかに冷えはじめた。少しおくれた平三郎を待って、いっしょに城をさがって来ると、空は薄日になり、重畳とうち重なる四方の山なみの上に、雪を思わせるネズミ色の雲が、おしつけるように、じっとのしかかっていた。