Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

Lee 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 144.562 caracteres · 291 pantallas

Aozora Bunko

少しでも御屋敷へ近く行きたい」

村川菊内の言葉は尤もでした。二人の船頭はそれを聞くと、堤の下の杭に繋いだ纜を解いて、もう艪を押す支度をしております。

「あっ、待って下さい」

愛妾お町はこの時、昇ったばかりの月を背に受けて、堤を下って来たのでした。

「早く、お町さん、――殿様がお怪我をなすった」

「えッ」

勝造の言葉は、お町にとって恐ろしい打撃だったらしく、しばらく船に乗るのも忘れて堤の中腹に立ち縮みました。

「どうなすった。お町さん」

「本当にお怪我? 人にどうかされたのではない? 勝造さん」

「楊弓で眼を射られなすったのさ。さア、船を出すぞ」

酒を取りに駒形へ帰った三吉を待ってはいられません。そのまま船を漕ぎ出して中流へ五六間も行かないうちに――。

「おーい、その船待ってくれ」

浅草の方から小舟でやって来た三吉。摺れ違い様、川の中で舷を付けて、こっちの船に飛乗りました。

「三吉か、――もう酒は要らねえよ」

と勝造。

「どうしたんだ。勝兄哥」

三吉は三升樽をブラ下げて、艪に踞みました。五十六七、すっかり月代が色付いて、鼻も眼も口も萎びた、剽軽な感じのする親爺です。